Movie Cycle Diaries

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zoom RSS グラディエーター  /Gladiator

<<   作成日時 : 2005/11/25 02:20   >>

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監督/
リドリー・スコット

脚本/
デイヴィッド・フランゾーニ
ウィリアム・ニコルソン
ジョン・ローガン

製作/
ダグラス・ウィック
ブランコ・ラスティグ
デイヴィッド・フランゾーニ

撮影/
ジョン・マシソン

編集/
ピエトロ・スカリア  

作曲/
ハンス・ジマー
リザ・ジェラード

美術/
アーサー・マックス

衣装/
ジャンティ・イエーツ

視覚効果/
ニール・コーボールド


出演/
ラッセル・クロウ

ホアキン・フィニックス
コニー・ニールセン
リチャード・ハリス
ジャイモン・フンスウ
オリヴァー・リード
デレク・ジャコビ
トーマス・アラナ
スペンサー・トリート・クラーク

ラルフ・モーラー
デイヴィッド・ショフィールド
ジョン・シュラプネル
トミー・フラナガン
デイヴィッド・ヘミングス
スヴェン・オレ=ソルセン
ジャニア・ファルコ
ジョルジオ・カンタリーニ
オミッド・ジャリリ


(2000年/アメリカ/2時間35分)



  ストーリー

 西暦180年(卑弥呼の少し前頃)のローマ帝国。
 皇帝マルクス・アウレリウスは、臣下で将軍のマキシマスを愛し、人格・戦功などからも彼を後継者にしようとする。皇帝の子で野心家のコモドゥスはこれに先手を打ち皇帝を殺害、マキシマスに謀反の濡れ衣を被せ妻子を虐殺する。
 逃亡に成功したマキシマスは奴隷商人のもとに流れ着き、そこから剣闘士(グラディエーター)を育成する男プロキシモのもとへ。強靱なグラディエーターとして名を馳せる。
 プロキシモともどもローマに移ったマキシマスは、ローマの大コロッセオで皇帝コモドゥスの閲覧試合に出場する。狙いは皇帝への復讐…



  語り継がれる劇画  ネタバレあり

 言わずと知れた2000年度のアカデミー賞受賞作。ストーリーも演出も濃いもので、言っちゃえば劇画そのものだが、リドリー・スコットと相性が良かったのか語り継がれるであろう傑作に仕上がった。
 
 少なくともサンダル&スウォードの大好きなイタリア人には大人気のようだ。『ザ・ソプラノズ』ではマフィア一家の問題児ラルフィが、この映画の真似をして三下ジョージに大怪我を負わせていた。彼曰く 「『スパルタカス』の髪型はあり得ねー。名作は『グラディエーター』の方だ!」

 話の核は「復讐」。一人の男と皇帝のサシの対決。復讐者の眼中には、女との未来も栄誉も何もなく、復讐を遂げて家族の待つ世界(冥界)に行くことだけ。 細かいサイドストーリーもあるが、この「復讐」という軸の強さが映画を骨太で力強いものにしている。
 
 妻子が待つ冥界にしか安住の地のない男。生ける亡霊と言って良いだろう。時々カットバックで入る故郷の麦畑を触る手、そこへの入り口(冥界の門?)、蒼い風景、すべて死の気配がする。死するべき男の最後の終着を変にハッピーエンドにせず、ちゃんと全うさせたところは作り手を称えたいところ。(実際は、死ではなくハッピーエンドを、という圧力がスタジオからかかったが、リドリー・スコットがはねつけた。エラい。よく頑張った。 これでハッピーエンドならオスカーなんて獲れなかったに決まってる。)

 コロッセオのシーンは当然一番の見せ場。 騎馬戦車軍団、虎男、若造皇帝、と獲物はどんどんショボくなっていくが、それぞれ手に汗を握る。特に最初のヌビア人の騎馬戦車軍団がコロッセオに突進してくるシーンは鳥肌モノ。これは映画館で観るべきだ。ムリならDVDの音量を最大にしてでも。騎馬戦車の車輪から出ている剣(恐ろしい!)の不気味な回転音、それが盾に当たる音、ハンス・ジマーの勇壮なスコア、全てが凄い。音を楽しむ映画だ。 グラディエーターの一人が叫ぶ”To the death!”やマキシマスの短くも適切な指示"Stay as one. as one!" "Diamond!" "Single column!" なんかもひたすらカッコいい。

 役者選びも良かった。マキシマス役のラッセル・クロウ。『L.A.コンフィデンシャル』で名をなしていたとはいえ、いきなりこの規模の作品の主役になれるほどのスターではなかった。それを抜擢したプロデューサーの見る目。アカデミー賞まで獲ったが、細かい演技よりは存在感を称えられた受賞と言える。『ベン・ハー』のチャールトン・ヘストンの如く。

 重要な役のオリヴァー・リードが撮影中に酒場で急死したせいか、クーデター失敗あたりの物語展開は少し唐突なものを感じる。完成度の高いプロットとは思わない。しかし、この映画の魅力は台詞だ。まるで怨念渦巻く劇画チックなセリフだ。それを発するマキシマス役のクロウ、悪の皇帝コモドゥス役のフェニックスともにキャラクター造形も演技も完璧なために盛り上がる。 以下劇画チックなマキシマスのセリフ。


  マキシマス語録

My name is Maximus Decimus Meridius, Commander of the Armies of the North,
General of the Felix Legions, loyal servant to the true emperor, Marcus Aurelius.
Father to a murdered son, husband to a murdered wife. 
And I will have my vengeance, in this life or the next.

 我が名はマキシマス・デシマス・メリディアス。北軍指令官にしてフィリックス団将軍。
 真の皇帝マルクス・アウレリアスの忠実なる僕。
 殺されし子の父にして殺されし妻の夫。来世になろうと復讐は必ず果たす。
 



(Commodus)
 Maximus! Maximus! Maximus・・・ They call for you.
 The general who became a slave. The slave who became a gladiator.
 The gladiator who defied an emperor.
 Striking story! But now, the people want to know how the story ends. 
 Only a famous death will do.
 And what could be more glorious than to challenge the Emperor himself in the great arena?
(Maximus)
 You would fight me?
(Commodus)
 Why not? Do you think I am afraid?
(Maximus)
  I think you've been afraid all your life.
(Commodus)
 Unlike Maximus the invincible, who knows no fear.
(Maximus)
  I knew a man once who said, "Death smiles at us all. All a man can do is smile back."
(Commodus)
  I wonder, did your friend smile at his own death?
(Maximus)
  You must know. He was your father.
(Commodus)
  You loved my father, I know. But so did I. That makes us brothers, doesn't it?
  Smile for me now, brother.

コモドゥス :マキシマス! マキシマス! マキシマス…皆が呼んでおる。 
        将軍は奴隷となり、奴隷は剣闘士となった。剣闘士は皇帝に刃向かった。
        胸を打つ物語! だが、もう民衆はどう物語が結末を迎えるかを知りたがっておる。
        名高き者の死がその答えだ。
        そして大闘技場で皇帝に挑む以上に名誉なことはあるまい。
マキシマス:貴様と闘うのか?
コモドゥス :いかんか? 余が恐れていると思うか?
マキシマス:恐れ続けの人生だろう。
コモドゥス :無敵のマキシマス様と違い人は恐れるものだ。
マキシマス:かつてこう言われた方がいた。
        「死は誰にでも微笑みかける。人は微笑み返すのみ。」
コモドゥス :そのお友達も死に際に微笑んだのだろうね?
マキシマス:知ってるはずだ。貴様の父上だ。
コモドゥス :お前は父を愛してたんだろ。余とてそうだ。ならば我らは兄弟と言えよう。 
        さあ余に微笑め、兄弟。



  ホアキン・フェニックスasコモドゥス

 ラッセル・クロウ以上に素晴らしいのが皇帝コモドゥス役のホアキン・フェニックス。この作品で「リヴァーの弟」というレッテルを完全に消し飛ばした。劣等感と歪んだ心故に肉親の愛を感じられないコモドゥスを完璧に演じている。 その屈折した歪みっぷりはカットされた父皇帝の胸像を斬りつけるシーンにより深く出ている。何でカットしたのか。父の愛に飢えた哀しい男なのだ……とは言え、腹違いの姉に近親相姦を迫るとこまでいくと、かなり異常。性根から歪んでいる。

 もともとこの役はジュード・ロウがオファーされていた。ホアキンも素晴らしいが、ロウの皇帝冠姿もきっと似合っていただろう。美男子すぎてホアキンほど歪んだ感じは出なかったと思うが。

 歪みきったコモドゥスのお言葉  ホアキンの見せ場

Lucius will stay with me now.
 And if his mother so much as looks at me in a manner that displeases me, he will die.
 If she decides to be noble and takes her own life, he will die.
 And as for you, you will love me as I loved you.
 You will provide me with an heir of pure blood,
  so that Commodus and his progeny will rule for a thousand years.
 Am I not merciful? Am I not merciful?!!!!

 ルシアスは我が手中にある。
 もし母親が余を失望させるような態度をとるなら、彼は死ぬ。
 もし気高くも己が道を選び自決するとしても、彼は死ぬ。
 そなただが、余の愛に応えることになろう。
 余に純血の後継ぎを授けるのだ。
 さすればコモドゥスとその子孫は長きに渡り君臨するであろう。
 余は慈悲深いであろう? 慈悲深いであろう!


 
  史実のグラディエーター ネタバレあり

 この映画の登場人物で実在したのは皇帝一家(マルクス・アウレリウス、ルッシラ、コモドゥス)のみ。マキシマスはモデルらしき人物(重要人物でもない)はいるが、実在はしない。 

 マルクス・アウレリウスは教科書にも出てくる五賢帝の最後の一人で、哲学者としても名高い名君であった。その最期もゲルマン民族との戦いの陣中で没したというのは映画と同じだが、コモドゥスに殺されたわけではない。コモドゥスが問題なくすぐ即位したわけだが、ローマ帝国は完全な世襲制であったわけではなく、この映画の「子でないマキシマスを後継者に…」という波乱もあり得たわけだ。

 コモドゥス(写真↑)は父の後を継ぎ皇帝の座に就いたが、元老院を屈服させようとし、対立したのは映画の通り。虐殺を行ったという逸話もあるが、父と違い大きな遠征も行わなかったので、ローマ帝国はわりかし安定していたようだ。国を滅ぼす戦争バカでなかった点は評価しても良いのかも。 
 ただし、この映画以上に剣闘が好きな男で、度々自らグラディエーターとしてコロッセオに降り立ち、闘った。しかも映画以上の手練れで猛獣なども自ら倒し、己をヘラクレスの生まれ変わりと自称していたそうな。この雄姿で元老院を威圧することも目的だったらしい。グラディエーターのカッコで元老院に登院しようとしていた(総理大臣がプロレスラーのかっこで国会に行くようなもんか)矢先、風呂場で暗殺された。 ただのバカ皇帝として歴史マニア以外には忘れられるところが、この映画のおかげで不滅の名声を手に入れることとあいなった。本人も満足なんじゃないだろうか。 他に『ローマ帝国の滅亡』という映画もコモドゥスを題材にしているらしい。見てないけど。

 ルッシラは映画と同じでコモドゥスの腹違いの姉。映画と違い性格のキツい権力欲の塊のような女性。数回コモドゥスの暗殺を試みているが、それは権力を己が握るため。すべて失敗して遂には地中海に島流しにされ、そこでコモドゥスの刺客に殺された。コモドゥスより先に死んでいるので、映画のように今後のローマを担っていくことは出来なかった。
 
 映画では息子ルシアス・ヴァレス少年がコモドゥス後の皇帝になるが、この少年は実在しない。ルッシラが夫ルシアス・ヴァレスとの間にもうけたのは女の子2人だから。
 よって史実ではコモドゥス暗殺後に有力地方貴族のあいだで内乱が起こり、勝利したオッサンが皇帝となったのだ。あれま。


演技 ★★★★★
物語 ★★★★
映像 ★★★★★
美術 ★★★★★
音楽 ★★★★★
笑笑 ★★★★
感動 ★★★★★
興奮 ★★★★★

総合 ★★★★★★★★★★ 10点


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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
史実の部分、興味深く読ませていただきました。やはりマキシマスは創造上の人物でしたか。逆にコモドゥスはかなり史実に即した部分が多いようで。ルッシラも映画以上に権威欲の強い女性だったようですね。
僕もこの映画は大好きです。見終わった瞬間、夏公開じゃなけりゃオスカーとれたのに・・・と嘆いたのを覚えてますが、そんなハンデものともしませんでしたね。R・クロウの受賞が演技+存在感というのには納得です。クロウ以外にあの役を演じられる人間が思いつかないほどの熱演でしたものね。
gwin
2005/11/25 10:04
私が初めてこの映画を観た感想は「こんなもんか」。
二度三度と観る内にどんどんどんどん面白くなっていきました。
10点!と思える作品はそういうのが多いです。
初めて買ったDVDもこの作品です。

書き忘れましたが、クロウがジャイモン・ハンスウに言う
「息子には〜と言う。妻には…お前に関係あるかw」
というセリフも好きです。剛と柔を分けるクロウ、素晴らしい。
stoval
2005/11/26 02:44
史実との距離の取り方が絶妙な映画(フィクション)だと思います。

外来語なので、正解はないと思いますが、
(役)コモドゥス←(史実)コンモドゥス
(役)ルッシラ←(史実)ルキラ
と異なる読みをあえて当てているのは、
「存在はしたが(性格や設定は)史実とは異なる」
という細やかな計らいだと勝手に捉えてます。
(PS2のゲーム「グラディエーター」(映画とは無関係)では「コンモドゥス」という読みをあててます)

もう数えきれないほど観賞しましたが、史実を掘り下げてゆくにつれ、
(役)コモドゥスに感情移入するようになったのを覚えています。
コモドゥスの描写が憎たらしく人間臭いからこそ、マキシマスにリアリティが出ているのだと思います。
このようなキャラクターメイキングのバランス感覚も素晴らしいですね。
火柱
2009/06/28 05:04

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