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zoom RSS アカデミー賞ノミネート予想  −オリジナル脚本賞−

<<   作成日時 : 2005/11/27 08:46   >>

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  ゼロから生み出した脚本

 が選ばれる賞である。個人の体験を活かしたもの(『あの頃ペニー・レインと』、『ロスト・イン・トランスレーション』)、歴史を調べて脚本化したもの(『グラディエーター』『ギャング・オブ・ニューヨーク』)、アイデア勝負のもの(『メメント』『シックス・センス』)、などジャンルは様々だが、ゼロから映画の素を作り出すその才能は、高く評価され多分一生食うには困らないだろう。ノミネートされれば。
 
 近年は摩訶不思議で味わい深いチャーリー・カウフマンが台風の目であったが、去年度の受賞で一段落、今年は手堅い力作が選ばれると思われる。 


  ジョージ・クルーニー旋風

 まず注目の人はジョージ・クルーニー。志が高い社会派映画2作品(グッドナイト&グッドラック、シリアナ)で監督・制作・主演・脚本を兼ね、見事に高評価をゲットした。受賞まで考えると、作品賞(制作)は正直厳しい。監督賞も100分を切る作品では難しいだろう。
主演男優は最も厳しい強敵揃い……となると脚本賞だ。ノミネートまでこぎつければ本投票ではどのカテゴリーもスターには甘い。大活躍のクルーニーをここで賞するのでは……という予想は早すぎるが、高評価・高指向のグッドナイト&グッドラックのノミネートはカタいだろう。

 注目はクルーニーのみではない。共同脚本で制作、出演(『インサイダー』にも登場していたドン・ヒューイット役)も兼ねているグラント・ヘスロフだ。ヘスロフはクルーニー・ギャングの長年の面子のひとりで、演出やプロダクション運営にも携わっているが、元々は俳優で『トゥルーライズ』や『スコーピオン・キング』でアラブ系の脇役を演じていた。彼はピッツバーグ生まれの米国人としか分からないが、もし役や顔の雰囲気そのままにアラブ系の血を引いているとすれば、この映画の意義は明白。「911以降のアラブ人に対する赤狩りの告発」だ。


  先行逃げ切り『クラッシュ』

 グッドナイト&グッドラックより、より確実なコンテンダーとして予想屋から見られているのはクラッシュだ。作品の評価はやや賛否差が激しいが、脚本は高く評価されており、また多くの人物を捌く作品はこのカテゴリーで有利である(例『マグノリア』、『テネンボウムズ』)。ポール・ハッギスは去年の『ミリオンダラー・ベイビー』の高い評価という大きな武器も残っている。よってノミネートは確実。 本戦でのクルーニー組との激突がむしろ見物。どちらにも分はある。


  ベテランたちの競演

 ウッディ・アレンの復活なるか。 
 『アニー・ホール』から1997年の『地球は女で回っている』までの20年間、アレンは脚本カテゴリーで13回ものノミネートを受けている。他を寄せつけない率である。評価が高いアレン作品=脚本賞ノミネートであった。 が、現在のところ5年以上アレンはアカデミー賞を留守している。テロ後の授賞式のスピーチ以外は(元々授賞式欠席の留守人だが)。多作、なれど凡作が続き、このまま忘れられていくのか…と思いきや、復活の兆しあり。今年は日本公開済みのメリンダとメリンダと、英国でサスペンスチックと全くアレンらしくない最新作Match Pointを引っさげて帰ってくる。特に後者は前評判が高い。有る程度の評価を集められれば、復活のノミネートだろう。

 もう一人のベテランは、これまた授賞式欠席が確定の世捨て映画人テレンス・マリック。映画を撮っていない時は世界を巡り、どこかの国で教鞭をとるというインテリ流浪人で、作品数も少ない(何れも高評価)が、今回は短いインターバルで帰ってきた。作品The New Worldは今までのマリック作品よりはよりオスカー的。前作『シン・レッド・ライン』はほとんど映像詩みたいな作品だったが、それでも脚色賞にノミネートされた。今回も作品の出来が良ければノミネートには無問題だろう。
 

  あと一枠を巡る大接戦

 あとは『ミュンヘン』を入れて予想終了……としたかったが、『ミュンヘン』は脚色部門に行ってしまった。空いたイスを獲るのは…

 カンヌで脚本賞受賞のメルキアデス・エストラーダの3回の埋葬? ギジェルモ・アリアガは『21グラム』などで勢いに乗っている。ヴァイオレンスが濃い作品なので、批評家の高い評価という武器を身に付ければ有利だ。

 The White Countessは? 『日の名残り』の原作者カズオ・イシグロのオリジナル脚本。作品の評価に左右されるだろう。作品賞を狙えるようなら文句なくノミネート。
Mrs.Henderson Presentsも同じ事が言える。

 今流行りはミュージシャンの伝記物。スライ&ザ・ファミリー・ストーンを映画化したThe Family Stone ……というのはウソで、家族の絆を描いた軽妙な物語だが、それ故に評価とヒットの両方の援護が必要になろう。

 ピクサーアニメの公開年にはピクサー枠がこの部門には出来るのだが、今年はピクサー作品がない。本年度公開のアニメーションで脚本部門に顔を出せそうなのはウォレスとグルミット/野菜畑で大パニック!くらい。しかし、物語性を絶賛された作品ではないので、かなり厳しいだろう。


  インディーズ作品にチャンスあり

 上記の作品に決定的な力がない場合、独立系低予算作品にチャンスが出てくるかもしれない。『堕天使のパスポート』や『ゴースト・ワールド』はそうした間隙を縫ってノミネートされた。 今年はThe Squid and the WhaleJunebugMy Sommer of LoveMe & You and Everyone We Knowといった作品が高評価を得ており、チャンスがある。この中では知名度で一歩抜けてるThe Squid and the Whaleが最有力だと思われる。
また、オスカーと全く無縁だったジム・ジャームッシュもBroken Flowersで初ノミネートの可能性ありだ。

 どの作品にしろ、中途半端な出来の高予算作品よりは、こういった野心的インディーズ作品をノミネートしたほうが刺激的だ。応援したい。

 ここ数年、外国語映画も必ずノミネートされているが、今年は今のところ強力な作品が見えてこない。しかし、油断は禁物だ。『シティ・オブ・ゴッド』のように急にスゴイのが出てくるかもしれない。


と いうことで上位5作品がノミネートと予想。
 ◎=ノミネート確実  ○=有力  ▲=微妙


◎ グッドナイト&グッドラック   ジョージ・クルーニー、グラント・ヘスロフ
◎ クラッシュ   ポール・ハッギス、ポール・モレスコ
○ The New World   テレンス・マリック   
○ Match Point   ウッディ・アレン
▲ The Squid and the Whale   ノア・ボーンバック


▲ メルキアデス・エストラーダの3回の埋葬   ギジェルモ・アリアガ
▲ The White Countess   カズオ・イシグロ
▲ The Family Stone   トーマス・ベズチャ
▲ Mrs.Henderson Presents   マーティン・シャーマン
▲ Broken Flowers   ジム・ジャームッシュ
▲ Junebug   アンガス・マクラクラン
▲ My Sommer of Love   ヘレン・クロス
▲ Me & You and Everyone We Know   ミランダ・ジュライ  
▲ ウォレスとグルミット/野菜畑で大パニック!   ニック・パーク、スティーヴ・ボックス
▲ The Upside of Anger   マイク・ビンダー   
▲ シンデレラマン   クリフ・ホリングスワース、アキヴァ・ゴールズマン
▲ みんな誰かの愛しい人   アグネス・ヤウイ、ジャン・ピエール=バクリ
▲ 輝ける青春   サンドロ・ペトログリア、ステファノ・ルリ

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シン・レッド・ライン『シン・レッド・ライン』 (The Thin Red Line) は、1998年のアメリカ映画|アメリカ製作の映画。太平洋戦争の激戦地ガダルカナル島で日々を送る若き兵士の姿を描く。.wikilis{font-size:10px;color:#666666;}Wikipediaより... ...続きを見る
映画の缶詰
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
「911以降のアラブ人に対する赤狩りの告発」とは恐れ入りました。すごい読解力ですね。確かに、今赤狩りをテーマに映画を作るという行為自体、911以降のアメリカに対する何らかの意思表示のような気はします。
しかしクルーニー、ヘスロフ、フッターマンなど、俳優出身の脚本家の台頭が目立ちますね。これは映画界にとっても明るい兆しと言えそうです。
gwin
2005/11/29 15:41
 証拠はまだ押さえられてないのですが、やはりヘスロフはアラブ系のようです。映画では道化みたいな役柄が多かったですが、本当はクルーニー&ソダーバーグの会社の重役をしたり、演出を手がけたりと相当なインテリさんのようです。
stoval
2005/11/29 22:32

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